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懇談会報告(平成8年4月)

3 国連等における議論の動向

昨年12月、第50回国連総会は、人権、環境、開発、健康等様々な分野における先住民が直面している問題の解決のための国際協調を図るため、国連、地域的機関、加盟国、先住民組織及びその他の非政府機関等の活動について規定した「国際先住民の10年に関する活動計画」を決定する決議を採択した。決議においては、この10年の主要な目的として「先住民の権利宣言」を総会で採択することを確認し、また、活動計画においては、加盟国の活動として適当な場合には、憲法の改正又は新法の制定を通じた先住民の存在、自己認識及び権利を承認することなどが規定されている。
現在、国連の人権委員会は、その下に設置された作業部会において「先住民族の権利に関する国連宣言案」を検討しているが、議論は緒についたばかりであり、その動向を見通せる段階にはなっていない。特に、これまで各国政府問の意見交換の中で先住民の定義問題、同宣言案に規定されている集団的権利と既存の個人の人権との整合性、自決権の取扱い等は厳しい対立をはらんだ議論となっている。今後もこの議論を見守っていく必要はあると考えられるが、我が国におけるアイヌの人々に係る新たな施策の展開については、我が国の実情にあった判断をしていく必要がある。
その場合、我が国からの分離・独立等政治的地位の決定にかかわる自決権や、北海道の土地、資源等の返還、補償等にかかわる自決権という問題を、我が国におけるアイヌの人々に係る新たな施策の展開の基礎に置くことはできないものと考える。