彫る-小刀・山刀・盆-




小刀(こがたな)

 

 小刀(こがたな)は、動物を解体する、魚をさばく、裁縫をする、木彫品を作るなど多目的に使われ、男女ともに、いつも腰から佩緒(はきお)()げていました。
 この小刀(こがたな)は、刀身(とうしん)と、(さや)(つか)などで構成されています。刃は交易で入手しましたが、(さや)(つか)は主に木で作り、文様を(ほどこ)しました。(さや)は、1本の木をくり抜いたり、2枚に割った木を貼り合わせたりして作りました。貼り合わせた(さや)には、桜の樹皮などを巻き付けて補強しました。
 (さや)(つか)に鹿の角を利用した物もあります。鹿の角は煮て柔らかくしてから文様を彫りました。
 かつてアイヌの男性は、結婚を申し込む時、相手の女性に文様を(ほどこ)した小刀(こがたな)を贈ったと言われています。彫刻ができるということは、生活で使う道具を作る技術を身につけた(あかし)でもあったのです。

 


 「蝦夷人山越え図」平沢屏山 筆
市立函館図書館蔵

 


小刀
(こがたな)
(左が鹿角を利用した物)
(財)アイヌ民族博物館蔵


山刀(やまがたな)

 
 山刀(やまがたな)は、木を()ったり、薪を割ったり、家や舟の材料を採ったりするなど幅広い用途で使われました。腰の帯に差し、小刀(こがたな)とともに毎日の暮らしで使いましたが、狩りなどで山に入った時はこれで木を()り、仮小屋を組み立てたりしました。
 (さや)は割った木を貼り合わせて作り、補強のために桜の樹皮を巻き付けました。(さや)(つか)にはそれぞれ文様を(ほどこ)しました。
 

山刀(やまがたな)
(財)アイヌ民族博物館蔵

 

 

 


「雙幅蝦夷人図・狩猟之図」雪好 筆
市立函館図書館蔵

(ぼん)

 
 (ぼん)は、食べ物を盛りつける食器のひとつとして使われました。文様は対称的に配置されたものが多く残っています。
 アイヌの木彫品が和人の求めに応じて作られるようになったのは、江戸時代の後期からだと言われています。(ぼん)はそれらの中のひとつでした。



(財)アイヌ民族博物館蔵



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