彫る-小刀・山刀・盆-





各部名称

 
 小刀(こがたな)の部位には決まった名称はありませんが、本マニュアルでは次のように呼びます。
 

材料

 
 イタヤカエデ、イチイ、クルミなど硬い木を材料にします。直径15cm以上の丸太から芯を外して板を取り、半年から1年は室温で自然乾燥させます。
 

クルミの木
 
 藤戸さんは、(さや)を「くりぬき」で作るのを好みますが、今回は「貼り合わせ」で作ります。
 「貼り合わせ」の場合は木を2枚に割ってそれを貼り合わせますが、「割り材」(41ページを参照)は無駄になる部分も多くなります。そこで藤戸さんは製材した板を使っています。
 材料を取る時は、貼り合わせても合わせ目が判らなくなるように木目に注意します。(さや)用に2枚、(つか)用に1枚の板を切りだし、表面を平らにしておきます。クルミは貼り合わせても馴染みやすい材料だと言います。
 
 
●刃 用途に合わせた大きさ(銃刀法に留意してください)。
(くさび) 刃を(つか)に固定するために使います。できるだけ硬い木が適しているので今回はイタヤカエデを利用します。材料の切れ端で構いません。
埋木(うめき) 刃を(つか)に固定して柄口(つかくち)(ふさ)ぐために使います。(つか)と同じ材料で切れ端を利用します。
●桜の樹皮  「貼り合わせ」の補強のために巻き付けますが、現在では接着剤が強いので、藤戸さんは飾りとして使用します。樹皮を採取する時、幹を一回り()ぐと、その木は枯れてしまうので注意が必要です。
根付(ねつけ) 鹿の角、動物の骨、海獣の牙、木など。
緒締(おじ) 根付(ねつけ)と同じ材料。穴の空いた古銭を(たば)にして使うこともあります。
佩緒(はきお) 植物の内皮を()んだ物、鹿皮など。今回は、三つ()みにした鹿皮。
 

ツリバナ(エリマキ)で作った根付け
 
●木工用接着剤 接着剤のない時代は、魚の皮から作った(にかわ)などが使われました。

粗取り

(さや)

 
@ 型を当てて2枚の形が合うようにして平ノミで(さや)の輪郭を出します。長さは後で調節するので、作りたい寸法よりも長めにしておきます。
 
   
   
 
A 刃を収納する部分を2枚の板に均等に掘り込みます。刃を当てて、その大きさに合わせますが、先端に1cmぐらいの余裕をつくります。三角等で縁取りをしてから、平刀で深さを整えます。(さや)を仮に合わせて刃を入れた時、(なめ)らかに出し入れできる深さとします。
 
 
B 鞘口(さやぐち)から2cm程のところに丸刀で溝を彫り、(つか)()み込む部分の位置を決めます。

接着

 
@ 木工用の接着剤を片方の板にだけ塗って貼り合わせ、締め付けて乾燥させます。藤戸さんは、均等に力をかけるために自作した器具を使用し、接着剤がにじみ出るまで締め付け、1日は乾かします。
 
 
A 乾燥後、引き回し鋸を使って内側ににじみ出た接着剤をかき出します。


整形

(さや)

 
@ 平ノミや平刀、切り出しなどを使って角を落として丸みを付けます。この段階でも少し長めにしておき、表面に文様を彫るので(なめ)らかに仕上げます。
 
   
(つか)

 
@ (つか)は1本の木を削って作ります。(つか)()み込まれるので、それを見越した反り返り具合として、この段階では少し長めにしておきます。
 
 
A 柄口(つかぐち)側を握り部分よりも1mm ほど細くして(さや)()まれる部分を作ります。長さは2cmほどで、これは(さや)の内部に丸刀で印を付けた部分までの距離です。
 
   
 
B (つか)に刃の付け根を収める穴をあけます。(きり)やドリルで穴をあけ、ヤスリで形を整えます。穴は刃を出し入れできる幅にしておきます。このような道具がない時代は、焼いた鉄を押し当ててくりぬいたとも言われています。

(さや)(つか)を合わせる

位置を決める

 
@ 鞘口(さやぐち)(つか)に合わせてくりぬきます。(つか)に刃を入れてから(さや)に収め、鞘口(さやぐち)に印を付けます。(つか)から刃が抜ける場合は、柄口(つかぐち)に木くずを()めて仮止めします。
     
   
鞘口(さやぐち)をくりぬく

 
@ 先の曲がった刃物を使ってくりぬきます。これは、丸い部分を彫るために藤戸さんが自作した物です。口を広げ過ぎないように、ときどき(つか)を差し込んで大きさを確認しながら調整します。仕上げに切り出しで形を整えておきます。
     
   
   
   
  整形

 
@ (さや)(つか)の収まりが良くなったら、それぞれの長さを決め、バランス良く反りを調整します。平ノミで長さを決め、切り出しで表面を(なめ)らかに仕上げます。
     
   
   
  「桜の樹皮を巻き付ける(みぞ)
   
 
@ 桜の樹皮を巻き付ける(みぞ)を、三角刀で縁取りをして、平刀で1mmぐらいの深さで彫り込みます。
     
     
A 鞘口(さやぐち)側の(みぞ)は、「佩緒(はきお)(くく)る部分」の付け根を貫通させ、佩緒(はきお)を通す穴を丸刀であけておきます。
     



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