彫る-小刀・山刀・盆-





材料

 
  クルミのほか、シナ、カツラなどやわらかい木を材料にします。
 年輪に対して平行に取った板目板を使います。川上さんは、水分を2%以下まで落とした材料を使います。
     

縦24cm 横32cm  厚さ3cm
(大きさに決まりはありませんが、今回製作した物の寸法です)
     
 木材の芯側を木裏、樹皮側を木表と言い、(ぼん)の場合は木裏に(くぼ)みを彫ります。板は木表側に反る性質があり、木表に彫ると(ゆが)みがひどくなります。
     

(ぼん)の形を作る

 
@ (のこ)で角を落として平ノミで形を整えます。
     
     
A 縁を残して内側を厚さ3cmのうち2cm程度くりぬきます。丸ノミで深さを付け、平ノミで均し、これを3〜5回繰り返して深さを決めます。
     
     
B 反対側の面の縁を薄くします。厚みの半分ぐらいから内側に向かって斜めに面を落として表面に丸みをつけます。
     
     
C (ぼん)の縁も形を整えます。刃を左右に振るように削ると、削りすぎを防げます。
     
     
 (ぼん)はできるだけ表面を平らに仕上げますが、川上さんは刃跡を活かしておくのを好みます。長い年月が経つと、光の反射で角度によって盆の表情が変わると言います。
     

木裏側

木表側
 

文様を彫る

型紙

 
@ 文様を対称に配置する工夫があります。型紙にカーボン紙を(はさ)んで四つ折りにして、文様を描いて開くと天地左右対称になります。型紙の線が多くなると、どこが(すじ)なのか判らなくなり、盆の表面も黒く汚れてしまうので、基本的な(すじ)だけにとどめておきます。
     
     
A 型紙の下にカーボンを(はさ)んで、型紙をテープなどで固定して線をなぞります。かつては、いろりの炭を使って下絵を描いたとも、下絵なしで描いたとも言われています。
     
   
筋彫(すじぼ)

 
@ 三角刀で一度に彫る作品も多いと言いますが、川上さんは切り出しを入れることにこだわっています。彫りが深くなり立体感が出るからです。刃は少し外側に倒し、右手で方向を(あやつ)って左手の親指で押すようにして動かし、線の上に深さ3mm ぐらいの切り込みを入れます
     
     
A 切り込みの内側の面を2〜3mmの幅で削()ぎます。(すみ)には彫り残しができやすいので、切り出しを入念に入れます。
     

筋彫り1本目
     
B 同じ要領で(すじ)の内側にもう1本の(すじ)を彫ります。円を描くときは手ではなく、(ぼん)を動かして刃は常に(あやつ)りやすい位置を保ちます。
     

筋彫り2本目
     
C 「渦巻き文様」の内側を丸刀でくり抜き、立体感を出します。  
   
(うろこ)文様」

 
 「花びら型の文様」の中に「(うろこ)文様」を彫ります。川上さんは、(ぼん)の文様には面の()ぎ方に決まりがあると年長者から教わりました。(うろこ)の向きは上下左右で方向を変えます。  
   
   
波状の文様

 
 「括弧(かっこ)文様で(くく)られた細長い三角形」の中に「波状の文様」を彫ります。切り出しを入れた線の間を一方に向かって斜めに()ぎます。
     
     
   
連続した括弧(かっこ)文様

 
 「渦巻き」の中と(ぼん)の縁に「連続した括弧(かっこ)文様」を彫ります。この文様は、頂点を決めてから線を引くと幅を均等にしやすくなります。切り出しを入れてから面を削ぎます。  
     
     
 面は互い違いに()ぐ方法もあります。
 
 
     
 これで完成です。川上さんは、(ぼん)の仕上げ剤にはクルミ油が良いと言います。
     

川上 哲さんのそのほかの作品

 
カツラ
         
       
   
     
クルミ
     
     
 


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