彫る-小刀・山刀・盆-





 自然の恵みを利用してきたアイヌは、木を材料に用いて、調度用具・嗜好(しこう)用具・儀礼用具など暮らしに必要な物の多くを自らの手で作っていました。
 こうした木製品の多くは文様が彫刻されました。文様には、「渦巻き文様[モレウ]」や「括弧(かっこ)文様[アイウシ]」などを基本として様々な形があり、作り手が思いおもいに組み合わせて丹念(たんねん)に彫りあげました。それは男の技として今に伝えられてきました。
 和人との交易が盛んになると、日常生活に欠かせなかった木彫品も交易品としての需要が高まってきました。
 道具の種類が少なかった時代、文様は小刀(こがたな)1本で彫られたとも言われ、それを(たく)みに(あやつ)る技術が磨かれました。現在では道具が豊富に(そろ)うので、用途に応じて様々な道具を使い分けて製作されています。
 本マニュアルでは、木彫品のうち、小刀[マキリ]、山刀[タシロ]、盆[イタ]の作り方を紹介します。小刀(こがたな)を藤戸幸夫さん、山刀(やまがたな)(ぼん)を川上哲さんが製作します。
 尚、二人とも独自の手法を織り交ぜているので、必ずしも伝統的な工法と一致するものではありません。
 
藤戸 幸夫
 1949年(昭和24年)、北海道旭川で、木彫り職人だった父のもとに生まれる。
 阿寒湖で木彫りを覚え、現在はアイヌ文様を彫った装飾品や小刀等を製作している。
川上 哲
 1949年(昭和24年)生まれ。北海道旭川市在住。木彫り職人である父・實さんに師事して、木彫製作を学ぶ。アイヌの伝統工芸と現代的な工芸品との融合をテーマに、様々な木彫品を製作。
 木彫りのフクロウや装飾品、椅子などをはじめ、手がける作品の分野は幅広い。




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