かつて、北海道に渡った開拓農民たちが、入植して最初にしたことは、「チセ」を建てることでした。その地方のアイヌの家を真似たのでしょうか。屋根や壁を茅や笹、木の皮などで葺き、床は草を敷いたといいます。
 チセですと、大工さんや屋根()き職人がいなくても、また、製材した材木がなくても、身近な材料と道具を使って、誰でも建てることができました。チセとは、本来、そういう建物でした。
 かつては余りあるほどあった材木や茅も、いまでは簡単に手に入れることができなくなりました。逆に、かつて、アイヌが簡単に手に入れることの出来なかった釘やノコギリなどが、いまでは簡単に手に入ります。
 このマニュアル事業では、昔のチセを、昔どおりにつくってみました。はじめにもいいましたように、工法、構造、名称などは白老地方に伝わるものです。しかし、チセは多くの特色ある地域性を持ち、また、いまの時代に建てようとしますと、さらに多様性を持たせることができます。
 どのようなチセを、どのような方法で建てるのか、そしてどのような活用の道があるのか、このマニュアル事業でのチセづくりが、そのひとつのヒントになれば幸いです。
     
 



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