舟敷(ふなしき)

 イタオマチプの土台となる舟敷(ふなしき)〔イタシヤキチプ〕・丸木舟(まるきぶね)を造る原木です。樹齢(じゅれい)300年を超えるセンノキで長さ約14m、直径は約1mあります。(写真6、7)
 舟敷(ふなしき)の材料に良いとされているのは、太くて素性(すじょう)が良く枝の少ないカツラ、センノキ、オオバヤナギなどです。

根元側より 写真6
     
 舟は樹木(じゅもく)の北に向いている面を底に造ります。これは北側の方が、年輪(ねんりん)()まり、丈夫(じょうぶ)で重く、水に浮かべた時に安定感が得られるからです。  

梢側より 写真7
     
 場所によっては厚さ5cmになるセンノキの樹皮(じゅひ)を白い木の肌が見えるところまで()がします。
(写真8、9)
 

写真8
     
   

写真9
     
 舟敷(ふなしき)の制作では、まず材料から舟の中心を割り出します。中心線を引いてみると船首(せんしゅ)側(根元側)が曲っていました。(写真10)  

写真10
     
 舟敷(ふなしき)(はば)は原木の(はば)です。突出(とっしゅつ)している部分を切り落とします。(写真11)

 「イタオマチプ」が造られたのは、鉄器が普及し(おの)などの道具が使われた時代と考えられています。
 

写真11
     
 今回、切り落とした部分は、船尾(せんび)に取り付ける「とも板」の材料にします。
 「とも板」は必ずしも、とも木を用いなくてもかまいません。
(写真12)
 

写真12
     
 舟の(はば)が決まると舟底を削ります。原木は底になる側を上にしています。
 舟底の面を割り出す方法は、まず年輪(ねんりん)の中心から上の部分を8等分します。上から三つめ、8分の3のところが舟の底面になります。
 船首(せんしゅ)船尾(せんび)側とも割り出しておきます。(写真13)
 

写真13
     
 舟の底を削り出します。この底の面が舟の水平を決めるとともに、舟全体を形作っていくときの基準になります。(写真14、15)


写真15

船底を切り出す様子 写真14
     
 原木の根元側が船首(せんしゅ)になります。これは波の衝撃(しょうげき)を受けるには幅のあるほうが安定するからです。
 船首(せんしゅ)船尾(せんび)の形をつくります。船首(せんしゅ)船尾(せんび)とも(はし)に行くに従い細くしていきます。側面の角も落して、舟底全体を(なめ)らかな面にします。
 船首(せんしゅ)船尾(せんび)(はし)(たい)らに削ります。船体の中心部の舟底は(たい)らにします。
(写真16、17)



写真17

写真16
     

 舟材の上下を入れ替え、舟の上側を削ります。船首(せんしゅ)船尾(せんび)()るように斜めに欠き取ります。

 中間部は薄く板状に切り舟の他の部品「座り板〔ウムシヤムイタ〕」として使います。
 これらの部品は、とも木でなくてもかまいません。
(写真18)

 

写真18
     
 水を被りやすい船首(せんしゅ)船尾(せんび)は上に()り上がった形になりました。(写真19、20)
     

船首(せんしゅ)側より 写真19
 

船尾(せんび)側より 写真20
     
 現代の工具を使い中を()()きます。初めは船べりの厚みを多く残し、中をブロック状に切り込みを入れます。(写真21、22)
     

写真21

写真22
     
 かつて舟の中を()()くのは(おの)などでした。さらに古く、鉄器が使われる以前では、石器で掘りやすくするために削る面を焼きました。
 削ったあとに水を満たし、そこに焼き石を入れ、お湯にして木を(やわ)らかくさせてから舟の幅を拡げました。
     
 木のブロックを(のみ)で、(のこ)(あと)がなくなるまで削り取ります。(写真23)   

写真23
     

写真24
  初めは仕上がりの船べり、舟底よりも厚みを多くとっています。(写真24)
     
 粗削りした丸木舟(まるきぶね)になりました。これからは、木を割らないように気をつけながら、数回に分けてさらに薄く削っていきます。(写真25、26)


写真26

写真25
     
 舟の外側は、水の抵抗が少なくなるように、原木の起伏(きふく)を削ってならします。
     
 船首(せんしゅ)船尾(せんび)の内側は厚みを残し傾斜(けいしゃ)のある(たい)らな面を作ります。(写真27)
 

船首(せんしゅ)側 写真27
     

写真28
  底や船べりの厚さを確認しながら段階的に慎重(しんちょう)に削ります。
(写真28、29)
     
   

写真29
     
 ある程度まで削った後、左右の側面の高さを(そろ)えます。
 舟底の水平を合わせて、船体に水を入れます。水を入れることで水洩(みずも)れのある箇所が、わかります。
(写真30)
 船首(せんしゅ)部の外側の右側が(くぼ)んでいたため左右対象になるように木で埋めています。
 

写真30
     
 油性の染料(せんりょう)を浮かせて船べりの内側に基準となる印を付けます。(写真31、32)
     

写真31
 

写真32
     
 水を()くと基準となる印が残ります。(写真33、34)
     

写真33
 

写真34
     
 水面を利用して印した水平の線に合わせて削り、左右の高さを(そろ)えます。(写真35)
 

写真35
     
 船べりの高さが決まったところで内側をさらに削り、薄く軽くしていきます。(写真36、37)
     

写真36
 

写真37
     
 予定の厚さになったところで、丸木舟(まるきぶね)全体にやすりがけをします。アイヌはやすりがけにトクサと呼ばれる植物を乾燥させて使っていました。(写真38、39)
     

写真38
 

写真39



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