狩猟(しゅりょう)漁撈(ぎょろう)採集(さいしゅう)民族であるアイヌは海を渡る交易(こうえき)の民でもあり、漁や交通、運搬の手段として舟を使ってきた歴史があります。アイヌの舟として一般的に知られているのは、河川や湖沼で使われた丸木舟(まるきぶね)〔チプ〕です。海で使用していた舟は「イタオマチプ」と呼ばれ、海はもちろん大きな河川でも、かなり上流まで(さかのぼ)ることのできる海と河川両用(かせんりょうよう)の舟でした。かつてアイヌは「イタオマチプ」で海に乗り出し漁撈(ぎょろう)交易(こうえき)の生活をしていたのです。
 

イタオマチプ
 
 「イタオマチプ」は舟敷(ふなしき)といわれる丸木舟(まるきぶね)の上に、波を()けるための羽板(はねいた)(なわ)()じた「板綴(いたつづ)り舟」です。それはアイヌ独特(どくとく)の技術で造られていました。
 

舟敷(ふなしき)の図
 

舟敷(ふなしき)に板が(つづ)られた図
 
 現在「イタオマチプ」は完全な形では残されていませんが、資料館や江戸時代に記録された絵画(かいが)など古文書(こもんじょ)の中で見ることができます。丸木舟(まるきぶね)の上に板を(つづ)り合わせて容積を大きくした「イタオマチプ」は、(かい)()を使って航行しました。
 丸木舟(まるきぶね)を土台として、板を(つづ)るというアイヌ独特(どくとく)の技術で造られ、車櫂(くるまがい)を使う「イタオマチプ」は、和人にも強い影響を与えました。和人がアイヌの舟を模倣(もほう)した舟を作っています。東北地方の「モジツブ〔モチプ=アイヌ語で小さい舟の意〕」にその姿を見ることができます。
 

()の図

車櫂(くるまがい)の図
 

()
(がい)の図
     

(かい)
がつけられた舟の図
 

飾りつけされた舟の図 
 
写真は「蝦夷嶋図説(えぞしまずせつ)」より抜粋(ばっすい)



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